昔は家族で子育てできたのに、なぜ今は難しいのか?育児負担を社会で支える必要性

公開日:2026-03-12 更新日:2026-05-01

訪問看護師と笑顔で話しながら、リラックスして赤ちゃんを抱っこする母親の水彩画風イラスト

「昔はみんな家族で育てていたのだから、今も家庭で何とかできるはず」――そんな見方が残っています。しかし、今と昔で大きく違うのは、育児の大変さそのものではなく、家庭内で負担を分け合える人数と距離感です。

この記事のポイント
  • 2023年の国民生活基礎調査ベースでは、児童のいる世帯のうち「夫婦と未婚の子のみの世帯」が75.9%、「三世代世帯」は11.2%です
  • つまり、子育て世帯の大半は祖父母同居を前提にしていません
  • 世帯の小規模化が進む中で、昔は家庭内で吸収していた育児負荷を今は家庭だけで吸収しにくくなっています
  • だからこそ、産後ケア・訪問看護・レスパイト・一時預かりは「甘え」ではなく、生活維持の仕組みです

なぜ今は家庭だけで吸収しにくいのか

昔の子育てが楽だったわけではありません。夜泣きも授乳も家事も、昔から大変でした。違うのは、その負担を家庭内で分け合える余地が今より大きかったことです。

祖父母が同居、もしくは近くに住んでいれば、上の子の見守り、買い物、沐浴の補助、短時間の抱っこ交代、通院時の付き添いなど、細かな負担を家族内で吸収しやすくなります。反対に、夫婦と子どもだけの世帯では、その細かな負担がすべて少人数に集中しやすくなります。

今の子育てで起こりやすいこと
  • 夜間対応が夫婦どちらかに集中しやすい
  • 買い物・受診・上の子対応を同時並行で回しにくい
  • 少し休むための交代要員が家庭内にいない

世帯構造の変化で見えること

家庭だけで吸収しにくくなっていることは、感覚論ではなく、世帯構造の変化としても確認できます。

2023年 国民生活基礎調査ベース

夫婦と未婚の子のみの世帯

75.9%
児童のいる世帯の大半を占めています。子育て世帯の中心が、祖父母同居ではなく、親子中心の構造になっていることを示します。
2023年 国民生活基礎調査ベース

三世代世帯

11.2%
児童のいる世帯の中で、祖父母を含む三世代世帯は少数派です。「昔のように家族で支える」を前提にしにくい構造です。
国立社会保障・人口問題研究所 2024年推計

今後の世帯の方向

小規模化が継続
世帯数将来推計でも、単独・夫婦のみ・親子中心の世帯構成が基調となっており、家庭内だけで支える前提はさらに弱くなる方向です。

つまり、育児負荷が消えたのではなく、負担を受け止める家庭の器が小さくなっている、というのが今の構造です。

昔と今の違いは「大変さ」ではなく「支える人数」です

「昔はやれていた」という言い方は、一見もっともらしく聞こえます。ですが、昔と同じ負荷を今の家庭にそのまま求めるのは無理があります。理由は単純で、同じ量の育児と家事を、より少ない人数で引き受ける構造になっているからです。

特に産後、双子・多胎、医療的ケア児、上の子がいる家庭、ワンオペ家庭では、負担の集中はさらに強くなります。こうした状況で必要なのは「もっと頑張ること」ではなく、家庭外の支援を前提に組み立てることです。

昔の前提

家庭内に吸収余地があった

祖父母同居や近居により、抱っこ交代、買い物、上の子対応、通院付き添いなどを分け合いやすかった。
今の前提

少人数に集中しやすい

親子だけの世帯が中心で、細かな負担が夫婦または一人に集まりやすい。少し休むための交代要員がいない家庭も多い。
必要な発想

社会で支える設計

家庭内で吸収できない分を、産後ケア、訪問看護、レスパイト、一時預かり、家事支援などで補う必要があります。
ここで伝えたいこと
  • 今の家庭が弱くなったのではなく、負担の受け皿が変わっただけです
  • 「昔はできた」は、今の家族構造にそのまま当てはまりません
  • 家族だけで抱え込むのではなく、最初から社会的リソースを組み込む方が自然です
「うちも家庭だけでは回しにくいかも」と感じたら

ご家庭の状況をお聞きしながら、産後ケアや訪問看護、レスパイト等、
活用できる支援の選択肢を一緒に整理します。
※対象エリア:品川区・港区・目黒区・大田区 および近郊

💬 LINEで使える支援を整理する

社会的リソースが必要です

家庭構造が変わった以上、昔は家庭内で吸収していた育児負荷の一部を、今は社会で支える必要があります。これは特別な家庭だけの話ではありません。家庭の器が小さくなった分を、制度と支援で補うという考え方です。

こども家庭庁は、産後ケア事業を「出産後1年以内のママと赤ちゃんを対象に、心身のケアや育児のサポート等を行う事業」と案内しています。つまり、制度の側も最初から「家庭だけで抱え込まない」前提で整備されています。

組み込みたい支援の例
  • 産後ケア:休養確保、授乳相談、育児支援
  • 訪問看護:産後の不調、医療的ケア児、小児在宅支援
  • レスパイト・一時預かり:休息、通院、上の子対応の余白づくり
  • 家事支援・シッター:家庭内で不足する手数の補完

パートナーや家族に共有したいのは、「家族で頑張るべきかどうか」ではありません。正しくは、「昔と同じ条件ではないのだから、今の条件に合った支え方が必要」です。

よくある誤解(Q&A)

Q. 昔は家族だけで育てられていたのに、なぜ今は支援が必要なのですか?
昔の方が楽だったのではなく、家庭内で負担を分けやすかったのです。
2023年の国民生活基礎調査ベースでは、児童のいる世帯のうち「夫婦と未婚の子のみの世帯」が75.9%、「三世代世帯」は11.2%です。今は祖父母同居を前提にしにくいため、家庭外の支援を組み込む必要があります。
Q. 産後ケアや訪問看護を使うのは甘えですか?
甘えではありません。
こども家庭庁は、産後ケア事業を『出産後1年以内のママと赤ちゃんを対象に、心身のケアや育児のサポート等を行う事業』と案内しています。家庭だけで抱え込まない前提で整備されている制度です。
Q. 都市部だけの問題ですか?
都市部で目立ちやすい課題ではありますが、都市部だけの問題ではありません。全国的に児童のいる世帯で三世代世帯の割合が低下し、世帯の小規模化が進んでいるため、家庭内だけで育児負荷を吸収しにくい構造が広がっています。
Q. 訪問看護や産後ケアを頼みたい場合、どこに住んでいても利用できますか?
当ステーションでは、緊急時にも迅速にお伺いできるよう、現在は主に品川区・港区・目黒区・大田区を中心にご訪問しております。エリア内のご家庭であれば、いつでもお気軽にご相談ください。

このコラムの作成体制

株式会社グリーンラボ

本コラムは、株式会社グリーンラボが企画・編集し、訪問看護・小児支援に関わる専門職の視点を踏まえて作成しています。

使える支援を一緒に整理してみませんか

「自分の住む地域ではどんな制度があるの?」「誰に頼ればいいかわからない」
といった疑問があれば、まずはLINEで専門スタッフにご相談ください。
まだ利用を決めていなくても、ご家庭の状況に合わせて活用できるサポートを確認します。
※対象エリア:品川区・港区・目黒区・大田区 および近郊

LINEで相談する(無料)
出典・参考情報

※本文中の「夫婦と未婚の子のみの世帯 75.9%」「三世代世帯 11.2%」は、2023年の国民生活基礎調査結果をもとにしたJILPTの整理に基づきます。

💬 使える支援をLINEで相談
品川・目黒・港・大田区対応