急変時の対応—訪問看護で誤解されやすい点を整理
公開日:2026-01-16 更新日:2026-05-13
「もし急に体調が悪くなったら…」という不安は尽きないものです。訪問看護は心強い存在ですが、24時間常駐しているわけではありません。急変時は「訪問看護が救急の代替ではない」ことを前提に、誰にどの順番で連絡するか、救急車を呼ぶ判断基準などを事前に取り決めておくことが重要です。
- 訪問看護は救急車ではありません。一刻を争う場合は119番が優先です
- 事前に「緊急連絡フロー」を作成し、家族全員で共有します
- 24時間対応の有無や条件は、事業所や契約内容により異なります
- いざという時に慌てないよう、連絡先リストを冷蔵庫などに掲示しましょう
- 体温だけでなく、意識・呼吸・哺乳・反応・保護者の限界を合わせて確認します
訪問看護は救急の代替ではない
訪問看護ステーションには「24時間連絡体制」がありますが、これは「いつでもすぐに看護師が駆けつける」ことを保証するものではありません。
- 救急車(119番): 呼吸停止、意識不明、大量出血など、生命に関わる緊急事態への対応。
- 訪問看護: 状態の変化に対する相談、主治医への連絡調整、必要に応じた緊急訪問(トリアージ的な役割)。
※「待っていては間に合わない」と思われる場合は、訪問看護への連絡より先に救急車を呼んでください。
緊急連絡の順番(フロー)
「熱が出た」「チューブが抜けた」など、状況に応じて連絡先が変わります。契約時に以下のようなフローチャートを作成します。
連絡パターンの例
- 明らかに重篤(意識なし等)
→ 1. 救急車(119) → 2. 訪問看護へ事後連絡 - 判断に迷う(高熱・痛み等)
→ 1. 訪問看護(緊急携帯) → 2. 指示に従う(受診・経過観察) - 機器トラブル(アラーム等)
→ 1. 訪問看護 → 2. 医療機器メーカー
急変時に迷わないための3段階チェック
急な発熱や嘔吐、ぐったりした様子があると、「訪問看護に連絡するべきか」「病院へ相談するべきか」「救急車を呼ぶべきか」で迷うことがあります。ここでは、診断ではなく、家庭で連絡先を選ぶための目安として、状態を3段階に分けて整理します。
意識がない、呼吸が苦しそう、反応が明らかに悪い、けいれんが続く、保護者が「待てない」と感じる場合は、訪問看護への連絡より先に119番通報を優先してください。
子どもの状態を見るポイント
体温だけではなく、意識、呼吸、哺乳・水分摂取、反応、保護者の違和感を合わせて確認することが大切です。
自宅で様子を見る
いつもと少し違うものの、反応があり、水分やミルクも少し取れている段階です。
- 微熱がある
- ミルク量や水分量が少なめ
- 少量の吐き戻しがある
- ぐずりがち、汗ばむ、少し元気がない
- 排便が2日ほどない
早めに相談する
症状が続いている、またはいつもより反応や機嫌が悪く、家庭だけで判断しにくい段階です。
- 38.0℃以上の発熱がある
- 飲みが悪い
- 嘔吐が続く
- いつもより反応が鈍い
- ずっと泣く、明らかに機嫌が悪い
- 排便が3日ほどない
すぐに受診・119番を考える
反応が悪い、飲めない、呼吸が苦しそうなど、待たずに医療につなぐ必要がある段階です。
- 39.0℃以上の発熱がある
- 飲めない
- 多量または連続した嘔吐がある
- 反応がない、ぐったりしている
- 呼吸が苦しそう
- 火がついたように泣く
- 排便が4日以上なく、腹部の張りや嘔吐を伴う
保護者自身の限界を見るポイント
子どものケアを続けるためには、保護者の睡眠不足や疲労も大切な確認項目です。保護者が限界に近い状態では、早めに支援につなぐことが必要です。
意識して休む
疲れはあるものの、食事や睡眠を少し確保できている段階です。
- 睡眠時間が短い
- 疲れ気味
- 食欲が少し落ちている
- 微熱がある
- 気持ちに余裕が少ない
早めに相談する
日中もつらく、休んでも回復しにくい段階です。
- 日中もつらい
- すぐ横になりたくなる
- 食事がおいしく感じられない
- 不快感が続く
- 不安や焦りが強い
すぐに相談する
眠れない、食べられない、気持ちを保てないなど、一人で抱えず早めに相談が必要な状態です。
- 眠れない
- 何もしたくない
- 食べたくない、食べられない
- イライラや悲しさが強い
- めまいや痛みがある
- 自分を保てないと感じる
迷ったときの連絡先
- 命に関わる可能性がある:119番
- 救急車を呼ぶか迷う:#7119
- 子どもの急な症状で迷う:#8000
- 契約中の訪問看護で相談したい:訪問看護ステーションの緊急連絡先
- 普段の経過を相談したい:主治医・かかりつけ医
24時間対応の「条件」の見方
「24時間対応」と一口に言っても、契約内容によって利用できる範囲が異なります。重要事項説明書で以下の点を確認しましょう。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 対象者 | 全てのご利用者か、特定の医療処置が必要な方(ターミナル期など)に限られるか。 |
| 費用 | 「24時間対応体制加算」や「緊急時訪問看護加算」などの追加費用が発生します。 |
| 対応内容 | 電話相談のみか、緊急訪問も含むか。また、訪問までの目安時間(例:◯分以内)。 |
緊急連絡先リストのテンプレ
緊急時はパニックになりがちです。必要な情報を1枚の紙にまとめ、冷蔵庫など目立つ場所に貼っておきましょう。この画面をスクリーンショットして保存するか、以下の内容を紙に書き写してご活用ください。
緊急連絡先リスト
- ご本人氏名
- 〇〇 〇〇(生年月日:S/H/R 〇年〇月〇日)
- 住所
- 東京都〇〇区...(救急隊に伝える用)
- 1. 訪問看護(緊急)
- 090-xxxx-xxxx(担当:〇〇)
- 2. 主治医(病院名)
- 03-xxxx-xxxx(診察券番号:xxxx)
- 3. 救急相談
- #7119 / #8000
- 平熱 / SpO2目安
- 36.5℃ / 95%以上
よくある誤解(Q&A)
- Q. 救急車を呼ぶ前に訪問看護師に電話してもいいですか?
-
意識がない、呼吸が止まっているなど、明らかに緊急性が高い場合は、訪問看護師への連絡よりも先に119番通報を行ってください。
- Q. 夜間でも必ず訪問してもらえますか?
-
24時間対応の契約をされている場合でも、まずは電話での状況確認を行い、必要性が高いと判断された場合に緊急訪問を行います。
- Q. 熱が出たらすぐ救急車を呼ぶべきですか?
-
体温だけで判断せず、意識、呼吸、哺乳・水分摂取、反応、ぐったり感を合わせて確認します。
反応が悪い、呼吸が苦しそう、飲めない状態が続く場合は、訪問看護への相談よりも119番通報や受診を優先してください。 - Q. 親の体調が限界のときも訪問看護に相談できますか?
-
お子さんのケアを続けるうえで、保護者の睡眠不足や疲労も重要な相談内容です。
「眠れない」「食べられない」「気持ちが保てない」といった状態が続く場合は、早めに訪問看護や医療機関へ相談してください。
「うちは24時間対応の対象?」「もしもの時の連絡手順を確認しておきたい」など
ご不安な点があれば、まずは今の状況をLINEで整理してみませんか?
※緊急性が高い場合は、LINE相談ではなく119番通報や医療機関への相談を優先してください。
※対象エリア:品川区・港区・目黒区・大田区 および近郊